ナローバンドUVB光線治療

最近普及してきましたナローバンドUVB紫外線治療法について少し詳しく話させて頂きます。専門的な言葉も出てきますが、治療について興味があれば受診して頂けたらと思います。

これまで日本においては、外用薬治療法により効果の乏しい乾癬の症例に対しては、中波長紫外線(UVB)療法やソラレンと長波長紫外線(UVA)を用いた PUVA療法が行われてきており、それなりの成果を挙げてきました。

しかし、近年欧米において、新たな波長特性を持つ紫外線ランプが開発され臨床応用も進み、かなりデータも蓄積されてきました。


ナローバンドUVB(NB- UVB)は中波長紫外線領域に含まれる非常に幅の狭い波長域(311±2nm)を持った紫外線で、この紫外線が乾癬治療に有効であることが明らかとなり、
オランダフィリップス(Philips)社で蛍光管(フィリップスTL01)が開発されると共に治療法として普及し始め、現在では乾癬を初めとして、アトピー性皮膚炎、白斑、多形日光疹、菌状息肉症の治療に用いられています。


ナローバンドUVB
その作用機序としては不明な点も残ってはいますが、T細胞のアポトーシス誘導が効果的に行われるためと考えられています。通常のUVBと較べて短い波長が少なく、サンバーンを起こしにくいため照射量を上げることによって治療の有効量に達しやすいと考えられます。

照射方法としてはMED(最小紅班量)の測定後50-70%MEDにて照射を開始し、その後20%づつ増量し、皮膚に紅斑等変化が見られるよう になれば、増量の中止や増量幅の縮小(10%)もしくは照射時間の短縮というように基本的なことが定められていますが、一開業医としては、MEDの測定自 体が手間のかかることです。

皮膚科では簡便な方法として正常部位に200-300mJ/cm2を1cm四方の面積でに何カ所か照射し、紅斑反応が 見られないことを確認した後にこの照射量にて治療を開始し、10-20%づつ増量しています。
照射回数は週2-3回行っています。
これは文献的にも5回と 3回では明らかな差が見られないことが言われており、また外来通院としては、仕事との両立を考えると3回が精一杯との多数の患者さんの意見によるためで す。
顔に、特に眼瞼近くに皮疹の見られる場合は閉眼を指示、確認しつつ照射することもありますが、基本的には紫外線防護メガネを着用して頂きます。顔に皮 疹の見られない方にはさらにタオル等でカバーしてもらいます。また照射によって皮疹が消退した部位には順次下着等を着用し皮疹の残った患部に限って照射を 続けるようにしています。
陰部については発癌性や、精子への紫外線によるダメージ防止のためにも早期にパンツ着用を促しています。
光線過敏症、皮膚悪性腫 瘍の合併・既往のある患者、免疫抑制剤の内服・外用のある患者さんには行いませんが、過去に一定期間紫外線治療を受けたことのある患者さんや20、30歳 代の若者にも慢性の副作用である皮膚老化や発癌に関して十分に説明し承諾を得た上で行っています。

発癌性に関しては
これまでのUVBやPUVAよりも少な いことが推定されています。
最近の種々の文献でこれまでのUVBと較べては効果が優れていることは明らかであり、またPUVAとの比較では海外では内服 PUVAとの比較になってしまいますが、同等との見方が大勢のようです。
日本でのPUVAバスとの比較検討がまだ不十分であり今後データの蓄積が待たれる ところですが、診療所においては、オクソラレンの前処置の必要が無く、まして入浴スペースが必要なく、治療時間も短く(初期には照射時間は1-3分ほど) てすみ、場所、人手ともに取られることが無く、有用性が高いのは明らかで、また週3回近く通院する患者さんの利便性を考えると駅近くで夜遅くまで診療を 行っている診療所こそが、大病院よりはナローバンドUVBを初めとする乾癬治療に向いているのではないかと考えるこの頃です。
最後に乾癬治療においてのナローバンドUVBと他の治療法とのコンビネーションですが、最近はビタミンA製 剤との併用に関して相乗効果ありとのデータが示されておりますが、ビタミンD外用剤との相乗効果はかなり以前に報告されており、最近でも共に用いることに よって治療に要するUVBの照射量がかなり削減されるとの報告がなされており、皮膚科では目下ナローバンドUVBとビタミンD外用剤のコンビネーションが中心です。
しかし最近紫外線によるビタミンDの分解が報告されており、使用に当たっては照射後に外用することが大切です。

現在、海外ではアメリカやヨーロッパや、病院だけではなく、家庭でも小型ナローバンドUVB治療を普通に行われています。
その小型ナローバンドUVB治療器に使っているランプも、オランダフィリップス(Philips)社より開発した小型ナローバンドUVB蛍光管です。

日本では、家庭でナローバンドUVB治療は未だ普及していないようです。

白斑・乾癬は頑固な病気と言われ、治るまで、非常に時間をかかります。
何年間通院するのは、時間的な面、経済的な面から見て、とても大変なことだと思われています。
最近は海外で家庭用小型ナローバンドUVB紫外線治療器販売会社が増えてました。
例、下記の海外サイトで販売している紫外線治療器はフィリップス社の蛍光管が使われたナローバンドUVB治療器です。
価格は4万円~10万円です。
www.nb-uvb.com
※ホームページの内容は日本語で分かりやすいです。


家庭用ナローバンドUVB照射装置
個人輸入可能
使用ランプ:Philips社ナローバンドUVBランプ
中心波長:312±1nm
ランプ生産地:POLAND
適応疾患:乾癬、アトピー性皮膚炎、白斑(白なまず)、円形脱毛症、掌蹠膿疱症など
ランプ発光エリア:100mm×80mm
価格:5.5万円 仕様

小型ナローバンドUVB照射装置
個人輸入可能
使用ランプ:Philips社ナローバンドUVBランプ
中心波長:312±1nm
ランプ生産地:POLAND
ランプ発光エリア:110mm×20mm
適応疾患:乾癬、アトピー性皮膚炎、白斑(白なまず)、円形脱毛症、掌蹠膿疱症など
価格:4.5万円 仕様

日本製の小型ナローバンドUVB治療器がありますが、値段は相当高いです。

UV治療器 TARNAB(病院用)
使用ランプ:平面発光ランプ
中心波長:312±1nm
ランプ生産地:日本
ランプ発光エリア:39mm×34mm
適応疾患:乾癬、アトピー性皮膚炎、白斑(白なまず)、円形脱毛症、掌蹠膿疱症など
価格:400万円 仕様