尋常性白斑

尋常性白斑の原因や症状、治療法について詳しく説明

尋常性白斑とは、尋常性乾癬と同じく後天的に発症する皮膚の病気で、皮膚の色素が消失してしまい、白い部分と肌色部分があるようなまだらな状態です。
現代、100人の中に1人白斑患者にあって、決して珍しい病気ではありません。
尋常性白斑は、メラノサイト(色素細胞)が減少、消失することの原因、白斑が形成され、徐々に白斑が広がること病気です。手のひら、足の裏をのぞき、全身どこにでも発症しえます。

尋常性白斑分類
汎発型
皮膚分節と無関係に脱色素斑が多発して生じる。徐々に脱色素斑が新生、拡大し、最終的には全身に広がる。甲状腺機能異常が合併することもある。メラノサイトに対する血中自己抗体が出現し、メラノサイトが死滅することにより生じる。よって、自己免疫疾患の一つである。甲状腺機能異常を合併していることが多いのもこの関係があると考えられる。
神経分節型
後天性で、思春期などにおける精神の不安定さがある若年者、またはストレスや皮膚への過剰な刺激を受けた直後に多く発症し、皮膚分節に一致して脱色素斑が出現する。皮膚分節を超えて拡大することはない。体の片側だけに出現することが多い。局所の自律神経障害が原因であるが、正確なことはわかっていない。メラノサイトは完全に死滅していない。

尋常性白斑の原因
原因は現在、まだはっきりとわかっていませんが、過度のストレス、日焼け、刺激などのことで、自己免疫異常や末梢の神経系の変化などが考えられています。
調査により、白斑患者の中に、不幸の生活や、仕事のストレスや、事業失敗など不幸なことが遭った方が少ないだとわかりました。
尋常性白斑の原因は、過度のストレスと関係する可能が高いです。

尋常性白斑の予防策
過度のストレス、やけど、日焼けなど、肌へのなんらかの刺激などが白斑ができると言われているので、特に過度のストレスには注意してください、過度の悩みやイライラを発散して楽しく生きましょう。
また、日焼けにも注意し、日焼け止めをしっかりと塗る、直射日光を直接浴びないようにするなどの予防が必要です。

白斑によく効く光線療法(ナローバンドUVB療法)

治療効果の高いきわめて狭い波長の紫外線311~312nm(ナノメートル)で構成された、今までになく効果の高い紫外 線照射装置を使用した治療法です。欧米では尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎などに一般的に用いられおり、いままで治療が難しかった尋常性乾癬や尋常性白斑な どの皮膚病にも有効です。治療にはごく狭い周波数(311~312nm)の紫外線だけを照射するため、ソラレンなどの紫外線吸収剤の内服・概要が必要な く、遮光などの生活上の制限の必要もありません。また、副作用も少なく治療も短時間で終了します。 これまでの治療に比べると乾癬・白斑などでの有効性が多く報告されています。
尋常性白斑に対する紫外線治療-ナローバンドUVB 照射治療
下記は海外で販売されている家庭用紫外線治療器、海外では家庭でナローバンド治療は普及しています。
家庭用紫外線治療器 手持ち式紫外線治療器
家用の小型ナローバンドUVB治療器

ナローバンドUVB
なぜ白斑に光線療法が効くのか?
ナローバンドUVB

図の説明:メラニン細胞がキズつくと、その傷ついたメラニン細胞を異物と見なし、白斑の人の免疫細胞が異物を殺しに来て、傷ついたメラニン細胞まで殺し、 さらに周辺の正常なメラニン細胞まで、殺してしまうのです。だから白斑部にはメラニン細胞がいないと考えられています。それではどうして色がつく(色素再 生が起る)のでしょうか?その白斑部、または周囲の正常皮膚の毛包(外毛根しょう)の隆起部(バルジ)にメラニン細胞の前段階の細胞、つまりメラニン芽細 胞が存在し、ここからメラニン細胞が作られることが分かってきました。UVBを照射するとメラニン芽細胞が働き出し、メラニン細胞となり増殖し、白斑部基 底層まで遊走します。またUVBを照射すると、表皮角化細胞がサイトカインを出して、それがバルジまで達して、同様にメラニン細胞増殖・遊走を起こしま す。さらにUVB照射すると、今までメラニン細胞を壊していた免疫細胞(CD8陽性細胞)に働いて、メラニン細胞を壊すのを妨げます(免疫抑制作用)。こ れらの3つの作用は同時に起るのです。だからある程度、色素再生(白斑部に色が出る)が起ると同時に進行が止まる(メラニン細胞を壊すのを止める)のも理 にかなっていると言えます。

白斑に最も有効治療法(表皮移植術)
メラニンをつくる細胞を本人の正常な皮膚の表面に近い部分から移植する治療法です。痕が残らないように皮膚を吸盤で吸い上げて人工的に水疱をつくり、その 皮の部分を白斑の部分にはりつける方法(吸引水疱移植術)がよく行われています。こうすることによって水疱の皮に含まれていたメラニン細胞が白斑の部分に 定着し、数週間から数ヶ月後には正常な色に戻ります。

右の写真の患者さんも数回のSBT治療で色素の再生を認めております。以下にSBTの概要を示します。
下はSBTの治療中の写真です。お腹の白斑に10cc の注射器をつけて、真空ポンプで吸引しているところです。2~3時間寝ているだけできれいな水疱ができます。一方で腕の内側の正常色皮膚にも同じ処置を行 い、正常皮膚を白斑切除後の皮膚にのせ、一週間の固定で生着します。痛みはほとんどなく、麻酔は一切必要ありません。右はSBT後の白斑です。既成の治療 でまったく色素再生を認めませんでしたが、この新しい治療によって皮膚を植えた部分のみならず、そのまわりにもきれいな色素再生を認めます。すべての白斑 が完治するまでには、まだ時間がかかりますが、あきらめていた人にとっては福音でしょう。